彼女とクリスマスデート
今日はクリスマスイヴですね。
というわけで、矢澤にこちゃんとクリスマスデートをしてきました。
朝9時に駅で待ち合わせ、そのまま遊園地へ。
なぜ遊園地なのかというと、なにやらその遊園地で夕方からアイドルのミニライブがあるらしく、にこがそれを見たいがために遊園地デートになりました。
僕も色々デートプランを考えていたのですが、にこの「クリスマスイヴは遊園地にライブを見に行くわよ!」の一言で僕の考えていたプランは一瞬で無駄になりました(まあ嫌ではないのですが)
話は戻ってデートの話。
夕方のライブまではもちろん遊園地で遊びます。
僕はせっかくだし色んなアトラクションに乗りたかったのですが、にこは買い物のほうが好きなので、遊園地のマスコットキャラクターのグッズを色々と買い漁ってました。
「どうせ全部のアトラクションを乗るなんて無理なんだから、せめて全部のショップを巡るわよー!」なんて意気込んでいましたね。
「かわいいグッズをいっぱい買って、ニコ、ますますかわいくなっちゃった〜♡」なんて言いながらご満悦な彼女を見て、僕もなんだか嬉しくなってしまいました。
買い物を済ませたら昼食。ここは僕が支払いました。
「自分の分くらい自分で払うわよ」とにこは言いましたが、にこはグッズをいっぱい買ってるし、遊園地のレストランは無駄に高いですから、そろそろにこが破産しそうなので無理矢理僕が支払いました。
昼食が終わり、いくつかアトラクションにも乗り、いよいよ本命のミニライブ。
ライブ中にこが「あの子はダンスが〜 あの子はかわいくて〜」などの解説をしていましたが、
僕から言わせてもらえば、隣でそうやって嬉しそうに話してくれている小さなスクールアイドル矢澤にこのほうが--よっぽど輝いて見えました。
ミニライブが終わり、もう空も暗くなってしまった頃、次は夕食です。
食べてる途中もにこはさっきのライブについて嬉しそうに語っていました。
しかし、「でも、僕はニコやμ'sのみんなのほうが可愛かったと思うけどなぁ」と僕が言うとにこはぽかーんとした後、はぁ、これだから素人は…とでも言いたげなやれやれ顔で僕を見ました。
でもその表情は、どこか嬉しそうにも見えました。
夕食を終えて外に出ると、なんとパレードの真っ最中でした。
せっかくなので僕らはパレードを見物。
しかし僕にはパレードよりも、楽しそうにパレードを見ている彼女のほうが、何倍も輝いているように見えました。
遊園地を後に、僕らは電車で地元に帰ります。
にこの家まで送っている時、僕がうっかり失言をしてしまいます。
「ニコがいつか本物のアイドルになったら、こうやって一緒にクリスマスを過ごすこともなくなるんだろうね」
なんて女々しいことを言ってしまったんだと自分でも後悔しました。ごめん、忘れて と言おうとすると、にこは僕の言葉を遮り、凛々しくこう言いました。
「当然じゃない。こうやってニコと過ごせるクリスマスなんて、あと1、2年だけよ。だってニコはアイドルになるの。そうしたらクリスマスなんてライブやイベントで大忙しだわ」
当然のことです。僕もそのことはわかっているので、そうだよね、ごめん と言いました。しかしにこは続けてこう言いました。
「でも…ニコがクリスマスに大忙しの人気者になっても…ライブやイベントが終わったら必ずあんたに会いに来てあげる。必ず会いにきて、あんたのためだけの特別なソロライブを開いてあげるわ。だから…これからもよろしくね?」
空は暗く、身体は冷え、凍えてしまいそうな寒空。しかし、僕の右手には確かな温もりがありました。
終